病気

塹壕特有の病気として赤痢と塹壕足があげられる。

赤痢
赤痢は大腸の炎症を引き起こす。この炎症が痛み・嘔吐・下痢・発熱の原因である。病原菌は経口で、水・食物・排便・直接接触により体内に入る。下痢は2次的に脱水症状を引き起こし重症の場合は死に至る。根本的原因は塹壕の不潔さにある。

塹壕内の便所は深さ1メートル程度の穴にすぎない。一杯になると新しいのを掘るだけである。時間がなければ近くの砲弾孔でしてしまう。戦争初期でとくに問題になったのは水だった。水は通常兵士の水筒に供給さるが間に合わないときは水溜りの水をとったこともあった。その後塩素殺菌が導入されたが、兵士にはその臭いのため嫌われた。

証言
チャプリン伍長…ロイヤル砲兵隊、母への手紙
理論的には、塩素は殺菌してあとは何の味も残さず終了だ。実際のところ殺菌はするようだ。それは良い。だが何か残している、必ずだ。

ソンムであるオーストラリア兵が氷から水を得て
おので氷の塊をとって、鉄のポットに入れておいた。それで数日紅茶をわかしていたが、そのうち誰かがその氷には長靴が貼りついていて、たしか死者のものだと言い出した。あまり思い出したくない。

塹壕足
第1次大戦の多くの兵士が塹壕足に悩まされた。これは足を長時間、冷たい湿気のある不潔な環境においたため発生するもので一種の感染症である。足がこれに感染すると、神経が通わなくなり皮膚は赤か青に変色する。適切な治療が受けられないと壊疽となり、切断するしかなくなる。

唯一の予防法は足を乾燥させ靴下を一日数回かえることだ。西部戦線では靴下だけは3足以上携帯することが兵士に要求された。足を乾燥させると同時に鯨油からできたグリースを塗ることが奨励された。しかしこれはどの程度効果があったかはっきりしない。

                       塹壕足

証言
インピー大尉…ロイヤルサセックス連隊第7大隊、戦後の手記
塹壕は冷たくいつも湿気だらけだった。場所によってはスノコもなければ地下壕もなかった。大隊のうち200名が塹壕足とリュウマチで病院行きとなった。一番ひどい場所で任務につく者にはゴム長靴が配られた。これも効果の程はわからない。塹壕足は始めて経験する病気だったからなかなか適当なことができなかった。持ち場のなかで2・3ヶ所確保し二人組みで交代に行かせ、交互の足をこすらせたがこれも効果はわからなかった。


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