各国の小銃
各国とも第1次大戦に合わせて、小銃を用意したわけではなく以前の制式銃をそのまま使った。このため塹壕戦になるととくに耐久性で問題が生じた。しかし小銃を一旦採用するととくに口径を変更することは困難で最後まで主要国は変更していない。ただアメリカだけは、自国のスプリングフィールド銃をすてイギリスのエンフィールド銃を採用した。輸入でなく自国製制式銃をもつ国は次の通り。
リー・エンフィールド・ライフル
|
国名 |
モデル |
口径(ミリ) |
積載弾丸数 |
重量(グラム) |
射程距離(メートル) |
|
オーストリア |
マンリッヒャー1895 |
8 |
5 |
3779 |
1968 |
|
カナダ |
1907ロス |
7.6962 |
5 |
3652 |
1846 |
|
フランス |
1886レーベル |
8 |
8(チューブ) |
4176 |
2000 |
|
ドイツ |
1898モーゼル |
7.92 |
5 |
4077 |
2000 |
|
イギリス |
リーエンフィールドMkT |
7.6962 |
10 |
4190 |
2560 |
|
日本 |
38式有坂 |
6.5 |
5 |
3652 |
2000 |
|
ロシア |
1891モアゾンーナガント |
7.62 |
5 |
4056 |
1935 |
|
アメリカ |
M1917エンフィールド |
7.62 |
5 |
4162 |
2187 |
各国の小銃とも性能として大差はない。いずれもボルト・アクションライフルでボルトの操作により薬きょうを排除する方式である。同時に新弾丸が弾倉から自動的に挿入される。ただフランスのレーベルは弾倉がチューブ式のため再装填に時間がかかり、大戦末期に箱型に改められた。
射程距離はどれも2000メートル前後だが、有効なのは500メートル前後と言われた。これは500メートルを越えると弾丸がお辞儀をしてしまい、狙いをつけることが出来なかったためである。口径が7.5ミリの小銃は弾丸が500メートル先で2.5メートル下がる。これに対し6.5ミリだと1.5メートルと言われる。人間の身長を考慮するとこの差は重要である。
その点で優秀といえる銃は日本の38式歩兵銃(有坂)と思われる。理由は単純で口径が小さいためだ。口径を大きくしても弾丸の重量が増えるだけで、命中すれば弾丸孔は大きくなり威力が増すように見えるが実際は関係がない。というのは実戦では敵兵士を射殺するより重傷を負わせた方が有利なのである。
当然負傷者を出せば担架兵が必要だし場合によっては行動が制約される。味方は命中した場所に敵兵が集まるのだからますます有利である。ところが現場は必ず大口径を主張した。理由は命中しても打撃を受けずそのまま敵が走って向かって来る、というのが大半だ。実際は命中してないのだ。
口径を小さくすることで軽量化し弾丸が発射後低伸することになり、実際有効な射程距離を伸ばすことが可能となる。そして銃本体の軽量化が達成できかつ弾丸携行量も増やせる。ただし制式小銃の口径を変えることは非常な困難が伴う。平時でなければまず難しいといえる。
第2次大戦でも7.5ミリがまだ中心で、最近は小口径化が進み4.7ミリが出現している。
ライフルが狩猟用として許可されている国、アメリカなどでは38式歩兵銃は依然人気のある銃である。38式歩兵銃の内部機構はドイツのモーゼルの亜流でほぼ同一である。その分耐久性が改良された面もありイギリス・フランス・ロシアに輸出され好評を博した。
また小銃の亜流的使用として散弾銃や毒入り弾丸・マグナム弾(アルミニウムキャプ付き弾丸)は既に実用化されていた。しかしこれらの武器は残虐であるとしてハーグ会議で禁止された。このため一応(アメリカ人が多少持ち込んだ。)交戦各国はその協定を遵守している。同じくハーグ会議で禁止された毒ガスが広範囲に使用されたにしては奇特ともいえる。
また第1次大戦で使用されたボルトアクション式ライフルは小銃としては最終兵器である。第2次大戦中盤で自動小銃が実用化されたが、連発式以外のメリットはなく命中性や重量を犠牲にすることになる。アメリカ軍が現在使用しているM16自動小銃を狙撃用とする漫画があるがナンセンスである。つまり狙撃用とした場合、薬莢をガスで飛ばし、連発性を向上(当然冷却装置が負担となる)する必要とボルトを前後させる時間との比較を考えればわかることである。
歩兵の戦術に戻る

ハーグ陸戦規定
マスケット銃と騎兵